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洋ラン季節の管理 “秋編”  〜秋雨を当てる?当てない?〜

 

気温がだいぶ落ち着き、猛暑があっという間に過ぎた2020年の夏。そして今後は、涼しい秋からあっという間に冬をむかえるタイミングになります。9月は冬支度を始める一歩手前で、洋ランの管理でも大切な時期となります。今回は私の経験で実施している秋雨の対応方法について簡単にご説明させていただきます。

この記事の目次

秋雨と最低気温を見極めろ

9月に入り残暑や台風が猛威をふるう時期ですが、そのような異常気象が無ければ9月は意外と安定した気温の時期になります。昼間の温度が30℃近く上がっても最低温度(夜温)が25℃を下回り、最低温度20℃前後は人間にとって生活しやすい時期となります。そんな9月は「秋雨」が始まる時期です。

この秋雨には要注意しなければなりません。

気温の様子を見ながら秋雨に当てるのか、当てないのか見極めが重要になります。

私が基準とするのは、最低温度が17~15℃を下回った場合に秋雨に当てることは要注意です。

秋の始まりは、多くのランで春~夏に育った新芽が一気に充実を始める時期です。充実というのはバルブが肥大を始めたり、根が再び動き出したり、シースが出始めたり、止め葉が出てきたり、休眠期に向けて、株が大きくなろうとする最終段階になります。ある意味、生命力あふれるバルブと根の充実が楽しめる時期でもあります。

秋~初冬の間に株または新芽が完成に向けて仕上がってくると、ランは水分の吸収が徐々に低下し始めます。(落葉種は葉が黄化、または落葉し始めた時がその合図になります)また、気温が低下してくると成長が鈍りだし、動きが止まり始めます。このタイミングで、大量の冷たい雨が当たることで、株全体が冷え過ぎてしまい、低温障害(低体温症)が発生することがあります。主な症状として、”葉や茎が傷み腐敗し始める”、”根が傷んで機能が止まる”、”蕾が落ちる”などがあります。

昼間が晴天で気温が上昇し、株全体が温まれば、気温15℃以下の秋雨に何度か当てても大丈夫です。しかし、1週間ずっと曇りで3~5日連続で秋雨が降り続くことがあると思います。その際に15℃以下になれば、低温障害が発生する可能性があります。

低温と秋雨が重なることで、春から夏にかけて大切に育ててきた頑張りが台無しになってしまう可能性もあります。万が一のことも考え、最低気温15℃以下の秋雨に何日も当てないようにに心がけたほうが良いかと思います。

秋雨の対応方法

15℃前後の最低気温であれば、多くのランを戸外で管理できる温度であり、株を充実させるために日照にも良く当て続けたいため、まだ室内に取り込みたくない気持ちがあると思います。そのため、気温が17℃を下回りだしたら、株全体に雨が当たらないように透明のビニールや透明のアクリル板で栽培スペースの頭上を覆いましょう。出来れば、遮光ネットに這わせて張ることが出来れば、良い雨よけになるかと思います。

秋雨が当たらないようにすれば、まだもう少し外で栽培を続け、しっかりと日照を確保して育てることが出来ます。なるべく透明度の高いモノを利用して、雨を遮りましょう。

種類や系統によって対応を変える

今回お伝えした、秋雨の避けるタイミングですが、ランの種類によっては、雨に当て続けても大丈夫な種類もあります。

寒さに特に強健な種類(デンドロのノビル系、キンギアナム系、セロジネ、シンビジウム、クールタイプなど)は秋雨が当たっても耐えられる場合が多いと思います。しかし、胡蝶蘭やバンダなどの単茎種、エピデンドラム、パフィオペディラム、カトレア、タケノコ系などは、気温が低下した時期の秋雨には当てないようにしましょう。

また、秋は室内に取り込む前に薬散をおこない、葉や株から病害虫を軽減される時期でもあります。涼しい気温のタイミングで、株全体に殺菌剤および殺虫剤の散布をお勧めいたします。

カトレアなどは画像の様に立派にバルブが太り、シースが出始め、花が咲くまでのワクワクを感じられるのが秋になります。

このようなしっかり育ってくれたランを、気温を見極めながら大切に管理をしていきましょう。

RECCOMEND

1991年生まれ 9歳の頃にランと出会い、栽培歴は既に20年。 多数の品評会・展示会に入賞歴、審査員経験あり。ラン栽培家として、雑誌やTVなどのメディアで活躍。 ときめくラン図鑑の著者として、ランを身近に普及する活動に取り組む。

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