TOP
世界らん展 2019

日本最大のランの祭典 「世界らん展 2019 -花と緑の祭典-」の概要と会場の様子を徹底レポート! <前篇>

全国のランを愛する全ての人々が1年間待ち望んでいたイベント。2019年2月15日(金)〜2月22日(金)の7日間、東京ドーム開催された「世界らん展2019 -花と緑の祭典-」へ行って参りました!

ラン関連のイベントではもちろん日本最大。園芸という大きいカテゴリーで見ても、7日間延べ約10万人が来場する日本最大級のイベントには間違いありません。会場はあの東京ドーム。ドームを7日間も押さえての開催ですから、出品株はもちろん、各展示のスケールもとてつもなく大きく圧巻です。

そんなビッグスケールですから、もちろん1つの記事では到底収まりきりません。なので前編・中編・後編の3部構成でお送りしたいと思います。前篇は「結局どういうイベントなの?」という方も多いと思うので、日本大賞を決定する審査の概要、今年の入賞作品などをお伝えできればと思います。そして中編では惜しくも入賞できなかった作品、そして個別部門以外の出品作品を紹介していきます。最後の後編では展示作品、販売ブース、その他会場の様子など、沢山の写真を撮影してきましたので、それを交えながらレポートしていきたいと思います。

それでは前篇からどうぞ。

この記事の目次

世界らん展2019の概要

「世界らん展日本大賞」が装いを新たにスタート

「世界らん展2019-花と緑の祭典-」

らんと花々と緑が織りなす壮大な競演 幻想的な空間でカクテルも楽しめる21時までのナイトタイム

世界らん展実行委員会は、「世界らん展 2019-花と緑の祭典-」を、2019 年 2 月 15 日(金)~22 日(金)の 8 日間、東京ドーム(東京都文京区)で開催 いたします。28 回の開催を重ねた本イベントは、らんはもちろんバラや チューリップ、ひまわりなどの「花々」や多肉植物・食虫植物などの「緑」 が溢れる「花と緑の祭典」へと生まれ変わります。 世界最大級の出品数を誇るらんのコンテストと、様々ならんで彩られた オーキッドゲートや壮大なモニュメントに加え、最新技術を駆使したデジ タルアート空間や、カクテルやオリジナルメニューが楽しめるフラワーカ フェ&バーも新設しました。また、期間中 5 日間はナイトタイムとして 21 時まで開催を延長します。これまで以上にバラエティ豊かなステージ イベントやショップにもご期待ください。

<らんと花々、緑の競演!>

●オーキッドゲート 2019 リニューアル開催を迎える「世界らん展 2019-花と緑の祭 典-」始まりの場所。幅 約 20m、高さ 約 5m の巨大なゲー トには、コチョウランやカトレア、リカステなど溢れん ばかりのらんを使用。まさに「らんいっぱい」の圧倒的 なスケールのゲートが来場者の期待を高めます。

●シンボルロード&モニュメント ~そらの木~Presented by 西畠清順 オーキッドゲートの先に広がるのは、プラントハンター西畠清順氏プロデュースによる「シンボルロード&モニュメント」。不思議な樹木が生い茂る約 30mの「シンボルロード」には、コンテストの上位賞に輝いたらんが 展示されます。そして、その先に登場するのは新しく生まれ変わる「世界らん展 2019-花と緑の祭典-」の象徴 となる「シンボルモニュメント〜そらの木〜」。階段を登ると、より身近にツリーの息吹きを感じることができ ると共に、会場内を一望することができる圧巻の光景が広がります。

~西畠清順(にしはた せいじゅん)~

1980 年 10 月 29 日生まれ。兵庫県出身。そら植 物園株式会社 代表取締役。21 歳より日本各地・世 界各国を旅してさまざまな植物を収集するプラン トハンターとしてのキャリアをスタート。2012 年、 “ひとの心に植物を植える”活動・そら植物園を設 立。日本全国 47 都道府県から集めた巨大な桜を同 時に都内でいち早く咲かせることに成功した「桜を 見上げよう。sakura project」など日本の植物界の 革命児として反響を呼んでいる。

 

<ナイトタイム>

2 月 15 日、16 日、19 日~21 日の 18:00~21:00 で開催予定 21 時まで開催時間を延長するナイトタイムでは、仕事帰りの若い女性やカップルも楽しめる、照明を落とした 幻想的な空間を提供します。華やかなステージイベントも予定しています。

●光と花のシンフォニー ~Flower meets Digital art~ テーマを「花が光に出逢う」とし、最先端のプロジェクションマッピング と花が融合した世界が広がります。最先端メディア 4K8K・3D ホログラム を用いた新しい空間演出を始め、体感・発見が散りば 3

<食虫植物と神秘的な花々>

今話題の食虫植物、ネペンテス(ウツボカズラ)や亜熱帯地方で 咲く世界最長の花弁を持つ花としてギネス記録に認定されているらん「パフィ オペディラム属 サンデリアナム」など、不思議な進化を遂げた 植物を紹介します。

ナイトタイムに行う会場内のライトダウンに合わせ、幻想的な照明演出もお楽しみいただけます。

~ネペンテス(ウツボカズラ)~ カップのような袋(捕虫囊)に虫などの生物を落とし込む形状の植物。捕虫嚢 は種によって形、大きさ、色が違い、中には生物を消化するための消化液が入 っている。

<イロトリドリノ世界>

会場の中心にはバラやチューリップ、ひまわり、ラベンダー など 2 万輪以上の花を使い、ピンク・黄・青など色彩豊かな 花々が咲き誇る花のインスタレーション空間「イロトリドリ ノ世界」が広がります。ガーデンデザイナーで 2004 年浜名湖 花博ワールドガーデンコンペティショングランプリ受賞の竹 谷仁志氏によるフォトジェニックな花々の競演をお楽しみい ただけます。

<コンテスト(世界らん展日本大賞)>

6 つの部門に分かれ、「個別(株そのもの)」「フレグランス(香り)」「ディスプレイ」「フラワーデザイン」「ハ ンギングバスケット」「フォト」から構成され、毎年 1200 作品以上の応募を誇る世界最大級のらんのコンテス トです。

●日本大賞 洋蘭、東洋蘭、日本蘭など、あらゆる蘭を対象に「株そのもの」を審査 する部門 1「個別部門」。この部門の最優秀賞が日本大賞です。前回は 785 作品の中から 94 名の審査員によって選ばれた「Gram. martae ‘Mass’s’」(グラマトフィラム マルタエ ‘マッシイズ’)が受賞しました。この属は 世界最大のらんとして知られているものですが、850 輪の艶やかな茶の 色彩とその栽培技術を絶賛された作品です。 今大会の受賞者にも賞金 200 万円と、副賞として協賛社の(株)ヤナセ より「メルセデス・ベンツ」が贈られます。

●迫力ある展示が人気の部門 3「ディスプレイ部門」 ダイナミックな作品が並ぶディスプレイ部門のオープンクラスでは優 秀賞(第 2 位)を岐阜県立恵那農業高等学校の「実りの楽園<Paradise of fruitful>」が受賞。この他にも 7 つの高校の作品が展示されまし た。現役高校生による展示もみどころの一つです。

引用:「世界らん展2019-花と緑の祭典-」報道関係用リリース

 

世界らん展とは?

世界らん展って何やっているの?と聞かれると、ランに興味がある方でも中々正確に答えることは難しいのではないでしょうか?世界らん展とは、一言で言えば、「蘭の国際的な展示博覧会」です。

世界各地でも大規模な蘭展は開催されており、主な所でいうと、3年毎に世界各国で開催される”世界蘭会議“やアメリカ・カリフォルニアで行われる”サンタバーバラ国際蘭展“、台湾で行われる”台湾国際蘭展“など世界各国で開催されています。

 

その展示会の核となるのが、出品花の品評会(コンペティション)です。

世界らん展も、もちろん品評会を行っており、世界約20カ国から1000作品以上が出品され審査を実施。 その上位に選ばれた作品に様々な賞が与えられます。

 

品評会では、洋蘭、東洋蘭、葉物など”株そのもの”の出来栄えを審査する「個別部門」、あらゆるランの”香り”を審査する「フレグランス部門」、設けられたスペースの中にランを陳列・装飾し、美しさを競う「ディスプレイ部門」、ランを主たる素材としたフラワーデザイン作品を審査する「フラワーデザイン部門」、ランを取り入れてデザインされたハンギングバスケットを審査する「ハンギングバスケット部門」の5部門に分かれています。

そして5部門があるの中で、この年の最高の一株に贈られる”日本大賞“は「個別部門」にエントリーされた作品が対象になるのです。

全ての部門を紹介すると、とても書ききれませんから個別部門における日本大賞受賞までのプロセスや仕組みを紹介します。

 

「日本大賞」が決まるまで

まずは先述したように、「日本大賞」は個別部門にエントリーされた作品の中から選出されます。個別部門は今年677作品のエントリーがあり、第一次審査としてリボン審査を実施。

 

リボン審査とは全出品作品を41のカテゴリーに分け、(例えばカトレア及び近縁属の区分があって、更に細かいカテゴリーに分けられています)各カテゴリー毎に審査を行い、ブルーリボン賞(第一席)、レッドリボン賞(第二席)、ホワイトリボン賞(第三席)が選出されます。各カテゴリーの第一席であるブルーリボン賞に選ばれた41作品は、自動的にトロフィー賞が贈られます。(各カテゴリーで一番良かったラン=ブルーリボン賞=トロフィー賞)

さらにそのトロフィー賞の中から部門賞18作品が選出され、最優秀賞(日本大賞)が1作品、優秀賞が1作品、優良賞が1作品で、残りの15作品が奨励賞を受賞するという仕組みになっています。

 

また、同時に全出品株を対象としたメダル審査も実施されます。メダル審査とは花の形や大きさ、数などを100点満点で評価。75点以上で入賞とし、点数によってGM(ゴールドメダル)やSM(シルバーメダル)等に認定されます。先述した相対評価で審査されるリボン審査とは異なり、メダル審査は絶対評価で、花そのものの質を基準に採点されます。

[日本洋蘭農業協同組合(JOGA) /JOGAメダル審査ってなあに?]

 

このように、約700作品という多くのランの中から、選抜に選抜を重ね、本当に選ばれし1株だけが日本大賞に輝くということがおわかり頂けたでしょうか?

まず大前提として、会期中に花がしっかり咲いていなければならないので「なんとなく花が咲いたから出品する」ということは出来ません。この会期に開花のピークを持ってくるために開花調整をするのはもちろん、数年後の出品を目指して一から株を育てていく、といった栽培家たちの努力の結晶とも言える株だけが出品されていると言っても過言ではありません。

世界らん展は日本全国、さらには世界中の栽培家やラン農家など、多くの蘭に携わる人々の情熱によって支えられているのです。

入賞作品たち

今年の世界らん展2019では、会場の入り口「オーキッドゲート」をくぐると、”プラントハンター”西畠清順氏のプロデュースした「シンボルロード」があらわれます。この通路の両脇にトロフィー賞を受賞した作品が展示されていたのですが、緑の植物の中に展示台が設置されており、さらにはライトアップまでされていました。入賞した株を展示するにふさわしい演出だったのではないでしょうか。

それでは入賞作品の写真を見ていきたいと思います。まずはトロフィー賞を受賞した23作品。そしてさらに上位の奨励賞13作品を紹介していきたいと思います。

 


<トロフィー賞 >

<奨励賞 >


入賞株は本当にどれも素晴らしく、展示台の周りには沢山の人で溢れていました。

この中で特に気になった株は、トロフィー賞の 「Inps. utricularioides ‘Sakura’ /イオノプシス ウトリキュラリオイデス ‘サクラ’」はまさに個体名の”桜”のような薄いピンクというか紫の可憐な花が沢山付いていて、本当に綺麗でした。

後は、薄暗い中光に照らされたに黒い花「Paph. Shun-Fa Web ‘Don King Ⅱ’ /パフィオペディラム シュンファ ウェブ ‘ドン キング II’」は特別な存在感を一際放っていたように思います。

そして、「日本の蘭」カテゴリーがある為、花が咲いていない”葉芸“のランがあったのも印象的でした。

それではここから個別部門の上位5作品、奨励賞2作品、優良賞1作品、優秀賞1作品、日本大賞1作品を見ていきたいと思います。

<奨励賞 (上位2作品)>

世界らん展日本大賞 2019

Gs. pulchra ‘Fredensborg’ / ガストロキルス・プルクラ ‘フレデンスボルグ’

神保康紀氏(群馬県)

このガストロキルスはマダガスカル島東部の800〜1700mの湿った森林に分布する生える地生ランだそうです。2017年の世界らん展で優秀賞、英国王立園芸協会特別賞を獲得した個体です。直径1m以上の鉢に沢山の花を付けていて大迫力でした。

世界らん展日本大賞 2019 世界らん展日本大賞 2019

Den. leporinum ‘Hyperion’ / デンドロビウム レポリナム ‘ヒペリオン’

神保康紀氏(群馬県)

レポリナムはニューギニアに自生するのデンドロだそうです。見てもわかるように背丈が1mを超える大型のデンドロで、花は角のような2本の花弁が特徴的です。ちなみにこちらの株も上のガストロキルスと同じ神保康紀さんの出品作品。


<優良賞 (第3位)>

世界らん展日本大賞 2019

Lyc. Sagano ‘Awayuki’ / リカステ サガノ ‘アワユキ’

斉藤正博氏(茨城県)

リカステ サガノはLyc. Abou Sunset (母体) × Lyc. Shoalhaven (花粉親)の交配種になります。個体名の通り、雪のような真っ白なアルバです。写真だとわかりにくいですが、こちらの株も大株で、花の大きさも人のこぶし程の大きさがあります。花数と、全ての花が同じ方向に向いているのが評価されたようです。出品者の斉藤正博さんはAJOS(全日本蘭協会)の会長を務められていて、昨年の日本大賞受賞者でもあります。


<優秀賞 (第2位)>

世界らん展日本大賞 2019

C. schroederae fma. alba ‘Hercules’ / カトレア シュロデレー アルバ ‘ヘラクレス’

神保康紀氏(群馬県)

コロンビア原産のカトレア原種シュロデレーの特大株です。なんと全部で228輪付けているそうです!このアルバ(白花) ‘ヘラクレス’は、すでに100年前に発見され、AOS(アメリカ蘭協会)でFCC(審査会で90点以上)を受賞している銘花です。そんな花が228輪も咲いているなんて圧巻の一言。ちなみに出品者はまたまた神保康紀さん。なんと5作品中3作品の受賞です。凄すぎます…。


<日本大賞 (第1位)>

世界らん展日本大賞 2019

Paph. Emerald Gate ‘Green Globe’ / パフィオペディラム エメラルド ゲート ‘グリーン グローブ’

櫻井 一氏(東京都)

栄えある世界らん展2019日本大賞に輝いたのはこちらのパフィオペディラムでした!

エメラルド ゲートはPaph. Emerald Sea(母体) × Paph. Shun-Fa Golden(花粉親)の交配種です。(ちょっと調べてみたところ、2016年の世界らん展で日本大賞を受賞したのもパフィオで、「Paph. Emerald Future ‘Galaxy’」。出品・作出が東京オーキッドナーセリーで、今回大賞のエメラルドゲートも東京オーキッドナーセリー作出の品種でした。)

特徴的なのが見ていただくとわかるように、とにかくリップもペタルもドーサルも全てが驚くほど真ん丸。この花の大きさと丸みが評価されたポイントだったようです。そしてエメラルドグリーンに輝く艶のある花と葉。自然のものと思えないような色と造形をしています。審査員からも「完璧だ」という声も上がったそうです。

さらに日本大賞には賞金と副賞がありまして、櫻井さんには賞金の200万円と、副賞のメルセデス・ベンツAクラスが贈られました。(世界らん展2019の大賞受賞者にヤナセからメルセデス・ベンツAクラスを贈呈

大きくて真ん丸のパフィオ。本当に日本大賞に相応しい、素晴らしい作品だと思います。


以上が世界らん展2019の概要と、日本大賞の選考過程、そして入賞作品の紹介でした。

続いて中編では惜しくも入賞できなかったランたちや、個別部門以外の作品を紹介していきたいと思います。どの作品も甲乙つけがたい作品ばかりです。

それでは是非続けて中編もご覧ください。

 

RECCOMEND

‘ランをもっと身近に、もっと楽しむ’をテーマにランに関する様々なコラム、ラン展などのイベント情報、ラン園やショップ情報を発信しています。もっとランが好きになるウェブマガジン「ORC MAGAZINE(オークマガジン)」

X