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世界らん展2019

日本最大のランの祭典 「世界らん展 2019 -花と緑の祭典-」の概要と会場の様子を徹底レポート! <中篇>

東京ドームで開催された「世界らん展2019」の会場レポート前篇に続き今回は中編です!

前回は主にイベントの概要、品評会の仕組み、入賞作品の紹介などを行いましたが、今回は入賞できなかった作品や個別部門以外の作品を紹介していきます。

イベントにはなんと約3千種・10万株が展示されていますので、もちろん全てを紹介することは出来ませんが、出品作品全てが力作揃いです。その中でも気になった作品の写真を中心に紹介していこうと思います。

会場の見取り図と共に、参加していない方は会場の様子を想像してもらい、参加した方はまた思い出を振り返ってみてください。それではどうぞ。

この記事の目次

会場見取り図

 

世界らん展2019

出典:世界らん展 2019 -花と緑の祭典- オフィシャルHP

入り口から会場へ

世界らん展2019なんと言っても世界らん展の会場はあの東京ドームですから会場はとても広く、全ての展示をしっかりと見ようと思ったら本当に1日がかりになってしまいます。

なので入場でもたつかないように後楽園周辺から入り口、入場して会場までの順路をザッとおさらいしてみましょう。

最寄り駅はJR「水道橋駅」、地下鉄「水道橋駅」、地下鉄「春日駅」、地下鉄「後楽園駅」の4駅になります。

東京ドームは野球観戦、コンサートなどイベントにより入り口が違っていたりしますが、世界らん展(例年)は”22番ゲート”からの入場になります。どの駅に降りたとしても、写真のような立て看板が到るところに設置してあるのでまず問題ないでしょう。

入場の前に、まずは荷物検査があります。写真では人数もそれほどいませんが、内覧会や初日などはかなり混み合います。待機列ができるので、スムーズに入場できるようにバッグなどは開けて待機しましょう。そして、前売り券を持っている方はそのまま荷物検査の列に並びますが、当日券を購入する方は22番ゲートの右手に当日券販売所がありますのでそこで当日券を購入します。

世界らん展2019

22番ゲートの回転扉をくぐると、入り口がちょうどグラウンドのバックネット裏に位置しており、左右に通路があります。それを図の矢印のように右に進みます。通路の上に「会場入口」の看板があるので、案内通り進めば問題ありません。

東京ドームの2階が通路になっており、1階のグラウンドが会場です。なのでグラウンドに降りていく事になるのですが、どこからでも降りれるわけではなく入場口が決まっているので注意してください。降りれる口はいくつかあるのですが、休憩スペースの降り口もあって、そこからだと会場へは行けません。写真のように”会場入口“と書いているところから入場してください。

世界らん展2019

いざグラウンドへ降りていくと、このように会場が一望できます!毎年この風景を見るたびに世界らん展に来たんだという実感が湧いてきますね。

ただこの階段結構急です…。ご年配の方は本当に大変そうでした。真ん中の通路以外は手すりが無いので気をつけてください。

 

世界らん展2019

まず階段を降りた人達を出迎えてくれるのが、会場入口である「オーキッドゲート」です。

ここは会場のメインゲートになるんですが、ゲートの両脇やゲートの上にもとてつもない数のランの花が飾り付けられています。来場した皆さんまずはここで記念撮影。

 

オーキッドゲートをくぐると、前編で紹介した個別部門で入賞した株が展示してある「シンボルロード」が現れます。シンボルロードには蘭の他に熱帯の樹木が並んでおり、この植物をプロデュースしたのが、TVにもよく出演しているプラントハンターの「西畠清順」さん。

シンボルロードの先には日本大賞や上位受賞した株を展示している「シンボルモニュメント」(古代宮殿のような建物)があるのですが、そこに運ばれた高さ8mもなるシンボルツリー「トキワマングサ」がそびえ立っています。

こちらもイベントを象徴する木ということで西畠さんが選定されたようです。ちなみに今回から18時以降は照明が落とされ各展示がライトアップされる試みが行われていますが、このシンボルツリーも夜になるとライトアップさていました。

個別部門

それでは展示の方を見ていきましょう。個別部門で惜しくも入賞できなかった作品です。しかしどれも本当に立派な株ばかりで、見ている側としてはどれが1席を取ってもおかしくない作品ばかりです。

個人的に気になったものや、素晴らしかった作品の写真をいくつか紹介したいと思います。

 

シンビジウムは割と馴染み深いランで、一般的な家庭でも軒先でシンビジウム育てているのをよく見かけます。見慣れたカラフルなシンビジウムもありますが、原種だと花の形が独特だったり、とても小さいサイズのものだったり様々ですね。

こちらはエビネ、セッコクなど日本のランですが、花の美しさはもちろん、葉芸や、とても繊細な絵付け・細工が美しい鉢も見どころのひとつ。

熱狂的な愛好家が沢山いるパフィオペディラムです。何といってもパフィオは独特で存在感のある花が特徴的。

今年の日本大賞を受賞した作品もパフィオでしたが、自然界にこんな色彩・造形のものが本当に存在するのか!?と疑ってしまう程存在感のある花たち。

こちらはカトレアと近縁属です。、カトレアというと大輪の花をイメージするかと思いますが、あえて小さい種のものをピックアップ。

エピデンドラムはオーキッドゲートにも沢山咲いていましたね。それとこのカトレア・コクシネアの大株は、20輪程花が付いていて大迫力。このサイズの花をこんな数咲かせられるのかと驚きましたが、やはりレッドリボン(第2席)でした。それとカトレア・ネオカウツキー(旧レリア・カウツキー)は、花自体は小さいのですが鮮やかなオレンジが一際目を引きます。

こちらはファレノプシス・バンダ属です。胡蝶蘭・バンダといったら大輪の花でゴージャスなイメージですが、原種や小型種は色も素朴で可愛らしいものが多いですね。

デンドロビウムは様々な種類があってとても多様です。上のポリアンサムは、昨年同じくデンドロビウムで優秀賞を受賞した、96歳の寺尾やゑさんの作品。惜しくもレッドリボンでしたが、柳のように垂れる枝に無数の花が付いていて本当に見事な作品でした。そして最近良く見かける房系のデンドロたち。

その他の属では最近流行っている通称タケノコ(カタセタムやシクノデス)や、マスデバリア、リカステが多かった印象。このホワイトリボンのメディオカルカは、小さくて可愛らしい花を数え切れないほど沢山付けていました。本当にどれも美しく、立派な作品ばかりでした。

フレグランス部門

個別部門に続いてフレグランス部門ですが、この部門は花の出来とは関係なくランの花の持つ”香り”を審査対象としています。香り審査は日本発祥で、世界らん展の前身の「Japan Prize」にて画期的な試みとして創設され、その他の国際蘭展でも導入されることになりました。

フレグランス部門は2グループ(洋蘭グループ、東洋蘭・日本の蘭グループ)11カテゴリーに分類し、リボン審査を実施します。各グループ10作品、計20作品のリボン賞を選出。各グループ4作品ずつ、計8作品がトロフィー賞を受賞し、その中から最優秀賞×1、優秀賞×1、優良賞×1、奨励賞×2の5作品が選ばれます。

香りの部門なので仕方ないのですが、見ていた皆さんは一生懸命鼻を近づけて香っていましたね。笑

世界らん展2019

世界らん展2019

V. falcata ‘Yuno’ / バンダ ファルカータ ‘柚乃(ユノ)’

斉藤 たみ子

フレグランス部門で最優秀賞を受賞したのは富貴蘭でした!

私も香ってみたのですが、香水のようなどぎつい香りではなく、とても爽やかでほんのり甘い香りでした。花の形や色と同じように、香りにもそれぞれ個性があるんだと改めて感じました。

ディスプレイ部門

世界らん展2019

続いてはディスプレイ部門です。ディスプレイ部門は個別部門のように株そのものではなく、ランを主体とするディスプレイ(空間デザイン)が審査対象となりますので、作品自体がとても大掛かりで迫力がありますね。

こちらの部門はクラスが愛好家クラスオープンクラス(ショーディスプレイ)オープンクラス(ライフスタイルディスプレイ)の3つに分かれています。

愛好家クラスは各地の蘭友会や洋らん会などの愛好家団体の出品で、オープンクラスは”愛好家に該当しないもの”とありますが、例えば植物園だったり、農業高校や農業大学の出品などがこれに当たります。

そして同じくオープンクラスのライフスタイルディスプレイですが、「花と緑のある生活空間を演出した作品」というテーマがあり、住居などの生活空間を再現して、その中にランと、それ以外の緑や花でディスプレイされた作品になります。主に住環境プロデュースやライフスタイルコーディネーターなどをされている個人や会社が出品しているようです。

各クラス審査を行い、各クラス毎にトロフィー賞14作品を選出。その中から部門賞(最優秀賞x1、優秀賞x1、優良賞x2、奨励賞x10)が選ばれます。

それでは各クラスの最優秀賞を紹介していきたいと思います。

世界らん展2019

愛好家クラス”最優秀賞”
蘭 舞踊 / Dancing Orchid

全日本蘭協会

 

画像出典:世界らん展オフィシャルHP
オープンクラスショーディスプレイ”最優秀賞”
天空の城 / Castle in the Sky

日本洋蘭農業協同組合

 

オープンクラスライフスタイルディスプレイ”最優秀賞”
和洋折衷 / Wayou-Setchuu

向山蘭園

 

以上になりますが、どの作品も力作揃い。とにかく膨大な数の花が使われており、会期に合わせての開花調整や、会場への搬入や設置などの準備は相当大変だったんだろうと思います。

そのような苦労の末に、会場全体が色とりどりで、華やかな雰囲気になっているのもディスプレイ部門があってこそだと感じました。

フラワーデザイン部門

世界らん展

こちらはフラワーデザイン部門です。

ランを主体とし、草花を使ったブーケやアレンジメント作品を審査する部門になります。こちらは3つのカテゴリーに分かれており、その中からトロフィー賞を12作品を選出し、さらに部門賞(最優秀賞x1、優秀賞x1、優良賞x1、奨励賞x3)が6作品が選ばれます。

フラワーアレンジにあまり馴染みがないという方が多いと思いますが、実際作品を見ていくと、一般的な花束・ブーケもあれば木のオブジェと草花を組み合わせた作品や、ワインボトルやティーセットを用いた作品などもあり、本当に自由な発想で作られているという事に驚きました。

それでは最優秀賞を受賞した作品を紹介します。

世界らん展2019

画像出典:世界らん展オフィシャルHP
フラワーデザイン部門”最優秀賞”
ゆらぎ / Yuragi

大竹 宏則

 

ハンギングバスケット部門

世界らん展2019

さて最後は2018年に新設されたばかりのハンギングバスケット部門です。こちらは蘭の花を取り入れたハンギングバスケット作品を審査する部門になります。8作品がトロフィー賞に選出され、3作品が部門賞(最優秀賞x1、優秀賞x1、優良賞x1)に選ばれます。

バスケットと聞いて蔓や竹で編んだバスケット・かごをイメージしていたのですが、もはやバスケットというより”壁掛けディスプレイ”と呼んだほうがいいかもしれません。

バックの枠もシンプルな額縁のようなものから彫刻など細かい細工が施されたものなど様々です。フラワーデザイン部門と同様に自由な発想で作られているなと感じました。個人的には、華やかで豪華な作品が多い中、ビカクシダやチランジアなどの着生植物を飾り付けた作品が気になりました。

では最優秀賞に選ばれた作品を紹介します。

世界らん展2019

画像出典:世界らん展オフィシャルHP
ハンギングバスケット部門”最優秀賞”
今昔の美 / Konjaku no bi

山室 秀子

 


 

以上が審査全5部門の紹介になります。とにかく出品作品どれも見応えがありましたね。

個別部門ではラン栽培の名人・達人たちによって磨かれた栽培技術に感動し、フレグランス部門では香りによるランの個性が引き出され、ディスプレイ部門では圧倒的な華やかさやスケールの大きさ、フラワーデザイン・ハンギングバスケット部門では作品の自由な発想に驚かされました。

この次は前編・中編に続いて、世界らん展レポートの後編です。審査部門に負けず劣らずの展示作品や、皆さんがお目当てにしていた販売ブース、その他会場全体の様子をお伝えしたいと思います。

それでは後編もよろしくお願いします。

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