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世界らん展2019

世界らん展2020 -花と緑の祭典- ORC MAGAZINE的3つの見どころ ポイント 〜直前予習スペシャル〜

画像出典:ORC MAGAZINE

年に一度全国のオーキッドラバーたちが集結する、日本最大の蘭のイベント「世界らん展2020 -花と緑の祭典-」(以下世界らん展)が、2月14日(金)〜2月21日(金)に開催されます。

そこで、開催まであと数日というところまで差し迫った中、今年の世界らん展の昨年と今年の比較を中心に、ORC MAGAZINE的見どころポイント”3つ“を紹介していきたいと思います。

この記事の目次

昨年と今年をくらべてみる

世界らん展 マップ

※クリックで拡大できます

上の画像左が今年2020年の会場マップで、右が昨年2019年の会場マップになります。それでは見比べてみましょう。

基本的なレイアウトなどは変わっているようには見えませんが、所々変わっているところが見受けられます。例えば昨年のマップ左上(12番)にあった「光と花のシンフォニー」というデジタル演出の展示でしたが、全て無くなり、喫茶コーナーと物販ブースになっています。

また、昨年のマップ右端にあった大きな「日比谷花壇」(13番)のブースですが、こちらも無くなり昨年は出口付近にあった「栽培相談」と「植え替え実演コーナー」が移動してくるようです。そして昨年は無かった(と思われる)「手荷物預かり所」が設置されています。

さらに大きく変化しているところが、「ボタニカルマーケット」と名付けられている、蘭やその他植物、資材などを販売しているブースです。

昨年は植物専門のSNS”Green Snap”で活躍する人気クリエーターやお店が全国から集った「Green Snap Marche」という販売ブース(イベント)がありましたが、今年のマップを見ると新たに「インターナショナルマルシェ」と、「カトレアマルシェ」が新設。こちらに関しては見どころ③にて後述したいと思います。

それでは世界らん展の沢山ある見どころの中で、ORC MAGAZINE的視点で3つに絞って紹介したいと思います。

世界らん展2019

※昨年のGreen Snap Marcheの様子

見どころその①「世界らん展日本大賞」

世界らん展は、前年から蘭に限らない“総合植物イベント”に変貌したとは言え、やはりイベントの核となるのは、日本大賞のコンペティションでしょう。

日本大賞とは大雑把に言うと、この期間中に咲いている蘭の中で日本で一番素晴らしい株を決めようという品評会です。品評会は全部で5部門あり、その中の「個別部門」から日本大賞が選ばれます。まず全出品作品を41のカテゴリーに分け、その中で第一席(ブルーリボン)を獲得した株がトロフィー賞を受賞、そこからさらに部門賞18作品が選出され、その中のたった1株のみが日本大賞に輝くことになります。

トロフィー賞を獲得するだけでも狭き門ですので、「最近これ咲いたから持っていこう」なんていう軽いものではなく、大賞を狙う栽培家の方々は、大株の作品であればその維持や、開花のピークを期間中に持ってくる調整、通常この時期に咲かない蘭を咲かせる等々、栽培技術の集大成であり、栽培家の方々が何年も前から準備して、手塩にかけた作品を披露する場でもあるのです。

なので出品作品はどれも素晴らしく、特に奨励賞15作品に選ばれた株は圧巻の一言。迫力が違います。

世界らん展に行ったらまずは入賞株を見ることをオススメします。蘭の栽培していないと作品の凄さが分かりづらいとは思いますが、会場には栽培指導員の方がいるので、その方に入賞した作品はどこが評価されたのか聞いてみるのも良いかもしれません。

 

さて、日本大賞を違う角度で考えてみたいと思います。下の図は過去の日本大賞のデータ、そして直近10年のデータと、最近開催された比較的規模の大きい蘭展のグランプリ株を並べてみました。

世界らん展日本大賞

※クリックで拡大できます

こうやって見ると、日本大賞株はたしかにパフィオが多い印象でしたが、実は開催当初に固まっていて近年は少ないです。意外なのが、カトレアは原種・交配種合わせても2回だけ。デンドロもパフィオと同じ回数ですが、ここ15年の間に集中しています。リカステ、マスデバリアも複数回受賞していますが、開花時期的が丁度この辺りの時期なので、出品数が多いのかもしれません。

このデータで面白い点が、過去29回の内、原種と交配種はほぼ半分の割合で受賞していますが、ここ10年で見ると圧倒的に原種のほうが多いです。交配種は2種のみ。しかもこの2種はどちらも黄花のパフィオで、東京オーキットナーセリーの作出した株です。1月に開催されたサンシャインらん展の最優秀賞を受賞したのも同系統のパフィオ。こうしてみると、ここ近年は「原種の大株」VS「パフィオ整形花」と言えるかもしれません。

このようにデータで見ると、審査員が選ぶ傾向や、その時期の流行などもぼんやりとですが見えてきます。果たして今年も原種大株とパフィオ整形花の戦いになるのか、それとも新たな基軸みたいなものが生まれるのか、その結果に期待したいと思います。

↓↓日本大賞のさらに詳しい概要、昨年の入賞株はこちらの記事で見ることができます。↓↓

見どころその②「30周年記念特別展示」

Cattleya dominiana

画像出典:須和田農園

世界らん展が1991年に開催されて、今年で30周年の記念展示として、「奇跡のカトレア~ドミニアーナ~」という展示を行うようです。以下オフィシャルサイトから。

記念すべき30周年を迎える本イベントでは、らんの女王といわれるカトレアの中でも、160年前に人の手によって作られた、世界初のカトレア交配種である「ドミニアーナ」の大株を展示します。現在4万種以上のカトレア交配種の中でも、起源になった原種と世界初の交配種の夢の共演が実現します。原種から交配種まで、様々なタイプのカトレアを3部構成で展示します。

引用:世界らん展2020‐花と緑の祭典‐

ドミニアーナとは、世界初のカトレアの人工交配種C.Dominiana(1859)のことで、展示される株はおそらく須和田農園のC.Dominiana(1859) ‘Neo Classic’ではないかと予想しています。須和田農園は世界らん展を始め、過去いくつかの蘭展にドミニアーナを出品し、数々の賞を獲得しています。メダル審査ではJGP,JOGAでSMに輝いております。

ドミニアーナの他にも原種から交配種まで様々なタイプのカトレアを3部構成で展示と書いていますので、カトレアが好きな方、カトレアに興味のある方は是非ご覧になると良いと思います。

 

さて、こちらも少し掘り下げて見たいと思います。

この世界初のカトレア交配種ドミニアーナについて気になる点がいくつかあります。ドミニアーナはしばしば「C.Dominiana(1859)」といったように4桁の数字が記載されていることがあるのですが、こちらは今から約160年前の1859年に登録されたという意味なんですが、なぜいちいち登録された年が記載されたかというと、C.Dominianaという同名の品種が3つ存在しているからなんです。

C.dominiana

上の画像はRHS(王立園芸協会)「The International Orchid Register」(通称:サンダースリスト)のC.Dominianaの検索結果です。

ちなみに、C.Dominianaは誰が交配させたのかというと、世界で初めて園芸植物の人工交配を行ったイギリスの園芸家”Jhon Dominiy(ジョン・ドミニー)“です。このDominianaという名前の由来になった人物で、初めて人工交配させた植物はカトレアではなく、カランセ(エビネの仲間)でした。その際にカトレアも交配をさせたのですが、発芽せずに失敗したようです。初めて交配に成功したカランセは1856年に初めて開花しました。

それでは一つ一つ見ていきましょう。画像左側のDominiana(1859)はC.intermediaC.maximaを交配させ誕生しました。ドミニーは最初の交配に失敗しますが、その後成功し1859年に開花。「Cattleya Dominiana」と名付けられます。しかし、もう一つ(1859-1)という表記がされていますが、こちらはC.intermediaC.labiataを交配させたもので、また別に交配させていたものが同時期に開花し、こちらもまたC.Dominianaと名付けられました。そして(1899)の表記のものはC.dowianaC.purpurataが交配されたもので、1899年に開花し登録されます。

何故こんな事態になったかというと、(1859)(1859-1)の2つに関しては、蘭の戸籍簿であるサンダースリストが出来る1889年よりも30年も前の事で、今ではもちろん登録システムがしっかりしているので、同名で登録されることはありませんが、園芸植物の人工交配の最初期であり、レギュレーションなども統一されておらず、混乱が生じたと思われます。160年も前のことなので仕方ありません。

(1899)のドミニアーナに関しては、片親のpurpurataは元々レリア属(L.)で、カトレア属(C.)のdowianaとの属間交配となりますので、本来であればLc.Dominiana(レリオカトレア属)なのですが、属の改変によってpurpurataがレリア属からカトレア属に変更になった為、属名も自動的に変更。第3のC.Dominianaが生まれてしまいました。

このようにC.Dominianaという同名のカトレアは3種存在することになり、その違いを登録された年代を一緒に表記することで区別しています。

栽培する者にとっては、ややこしいなぁと思ってしまいますよね。ですが100年以上前から現在までの交配情報を国際的にデータベース化している園芸品種は、洋蘭以外存在しません。今では15万件以上が登録されており、このようなシステムがあるおかげで育種が進み発展してきた背景があります。

今回のドミニアーナの展示を通じて、普段私達が目にしている洋蘭たちが、長い年月の間幾つもの交配を重ねながら今に至ることを知る良い機会になるのでないかと期待しています。

見どころその③「販売ブース」

そして来場者の楽しみと言ったら展示と、今年から”ボタニカルマーケット“と名付けられた販売ブースです。

始めに書いたとおり、今年から新設されたエリアが2つありまして、一つが「カトレアマルシェ」と、もう一つが「インターナショナルマルシェ」です。

先述した30周年記念展示「奇跡のカトレア~ドミニアーナ~」の出口に設けられるのがカトレアマルシェ。カトレアマルシェはカトレアに定評のある蘭園のブース集まるエリア。マップ右上のブース番号C-1〜C9です。

・須和田農園

・麻布ナーセリー

・αオーキッド

・大場グローバルプランツ

・岡田蘭園

・ココアオーキッドファーム

・及川洋蘭園

・オルキダリオ・パウリスタ

・くろやなぎ農園

以上の9店舗。

そのカトレアマルシェを抜けた先にあるマップ中央上部のブース番号I-1〜I-15のエリアがインターナショナルマルシェ。インターナショナルマルシェとは海外の蘭園、ナーセリーが出店するエリアになっていまして、日本では入手困難な商品も購入できるかもしれません。

・THE Orchid Lei Company (タイ)

・マダガスカル ボネオ エキゾティック (マレーシア)

・オルキデアス アマゾニカス (ペルー)

・セントポールズ オーキッズ (フィリピン)

・チャトゥチャック マーケット プラント&バリエゲイト (タイ)

・べラビスタ オーキッズ (ブラジル)

・NT オーキッドナーセリー (マレーシア)

ペルー フローラ (ペルー)

・エクアフロール-A (エクアドル)

・コクコクオーキッド ナーサリー (タイ)

・ジョー&マム オーキッド (タイ)

・清華蘭園 (台湾)

・ムンディフローラ ファーム (エクアドル)

・億晟蘭園 (台湾)

・エクアジェネラ (エクアドル)

以上15店舗。

今回販売ブースを“カトレア”や、“海外業者”といったカテゴリーでエリア分けしたのは、前回と大きく変わった点であり、新たな試みですね。以前なら洋蘭と東洋蘭のエリアが何となく分かれていましたが、国内業者、海外業者は明確には分かれておらずミックスされていたように思います。

確かに洋蘭を始めたばかり、これから始めるという方は、「この蘭園は何々の品揃えが良い」という情報を持っていませんし、どの蘭園にもカトレアは置いてあったりはするので、ある程度エリア分けされていた方がわかりやすくて良いかもしれません。

ここからは推測なのですが、世界らん展のような全国、世界から業者が一堂に集まるというイベントは他にありません。なので皆さんお目当てのものを手に入れようと、毎年販売ブースの通路は人で溢れ返っています。東京ドームという巨大な会場でも、人の密度にも偏りがあり、何万人という人が来場しても大抵は入賞株の展示エリア、もしくは販売ブースのエリアに集中してしまいます。

そこで先程書いたように、ある程度のゾーニングをすることで、来場者にわかりやすく利用してもらうこと、もう一つが、須和田農園のように人が集まるブースや、人気の海外業者のブースを少し離して配置させることで、密度を分散させることが狙いなのではないかと考えます。現にカトレアマルシェのある付近は昨年では雑貨店舗が並ぶエリアで、人の往来もあまり無いように感じました。

時間帯にもよりますが、いつも販売ブースの通路は人で溢れ返っていて、お年寄りの方は歩くこともままならない、ゆっくり吟味することも難しい状況だったので、このような取り組みはとても有意義だと感じました。

 

蘭だけではない総合園芸イベントとして再出発した世界らん展は、リニューアルして2年目となりました。この体制になってから賛否ありますが、前年の反省点などを生かしながら、確実にアップデートを重ねていると思います。

残すところあと数日で開催されますが、今挙げた3つのポイントの他にも沢山の見どころがあり、100人が訪れたら100通りの楽しみ方があるはずです。年に一度の蘭の祭典を思う存分楽しみましょう。

 


 

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